【ドバイエアショー】 60機の航空機が披露した圧巻の開幕日フライトディスプレー
2025/12/15 航空機
ドバイエアショー2025で毎日午後に行われたフライトディスプレーは目玉プログラムです。
加えて開幕日の冒頭には、UAE軍のヘリコプターや軍用機を含む計60機もの大編隊が、アル・マクトゥーム国際空港の上空を低空で通過し、イベントの幕開けを飾りました。
オープニングを飾ったのは、ヘリコプター軍団と、軍用機編隊です。次にエミレーツ航空の壮大な「フルフリート」編隊飛行でした。このフライトでは、2024年11月にエミレーツ航空に初めて納入されたエアバスA350が、空中編隊飛行に初参加するという歴史的な瞬間を迎えました。
飛行は、先頭のA380が高度500フィート(約152メートル)、B777が700フィート(約213メートル)、そして最後尾のA350が900フィート(約274メートル)と、計算された高度差が設定されました。
UAEは、フライトプランニングにおける高い技術力を世界に示しました。緻密な調整を経て実現したこのオープニングフライトは、ドバイエアショー2025の最高のスタートを切ったと言えます。
エティハド航空が続く

次に登場したのは同じUAEでアブダビを拠点とするエティハド航空のA380と高度を変えて追従するフライドバイのボーイング737-Maxでした。
ボーイングの野心的なフライトディスプレーとは

オープニングに続く毎日開催のディスプレーは次世代民間航空機によるデモンストレーションへと移行しました。
民間機でまず登場したのは、ボーイングの次世代フラッグシップであるボーイング777X-9、登録記号N779XWです。世界最大の双発ジェット機として知られる777Xは、巨大な胴体からは想像もつかないほどの俊敏な動きを披露しました。
会場の視線を集めたのは、低速で通過した後、エンジン音を絞って急激に機首を上げ、高迎角で上昇する瞬間でした。この大型機が、まるで戦闘機のように機体を持ち上げたあとに60度以上でスティープターン(急旋回)する姿は、革新的なGE9Xエンジンの圧倒的な推力と、進化したフライ・バイ・ワイヤシステムによる精緻な制御能力を雄弁に物語っています。
環境適合フライト

静音飛行は、新型エンジンの設計と翼の空力性能の進化がもたらした成果であり、運航コスト削減と環境負荷軽減への貢献を強くアピールするものでした。優雅なバンク角で会場上空を旋回するたび、次世代航空機の静音性と高効率性の両立が現実のものとなっていることを実感させられました。
COMAC機が飛ぶ

次に中国の国産旅客機COMAC C919(登録記号B-658M)がフライトディスプレーに加わりました。C919は、ボーイング737やエアバスA320といった世界のナローボディ機市場に挑む、中国航空産業の意欲作です。
アジア以外で初のC919のデモフライトは、同機の成熟度と今後の世界市場での存在感を強くアピールするものでした。ナローボディ機らしいキビキビとした動きを見せ、特に低空でのタイトな旋回操作では、高い操縦性を印象付けました。
他社とエンジンは共通

CFMインターナショナル LEAP-1Cエンジンの作動音は、現代のナローボディ機として標準的な静粛性を確保していることが確認できました。C919がエアショーの空を舞うという事実は、アジアが航空機製造において世界の主要プレイヤーになりつつあることを象徴しています。
このフライトは、中国で開発中の機体プログラムが着実に前進していることを示し、世界の航空ジャーナリストや航空関係者にとって、未来の市場動向を占う上で非常に重要な一歩となりました。
エアバスの華麗な飛行

エアバスの長距離用ワイドボディ機、A350-1000(登録記号F-WMIL)がドバイの空に姿を現しました。777Xのライバル機であるA350-1000は、長大な機体と特徴的なウィングレットを持つ、洗練されたデザインが特徴です。
A350-1000のデモフライトは、777Xの力強い展示とは対照的に、一貫してスムーズで優雅な動きで展開されました。ロールス・ロイス トレントXWBエンジンの独特な吸気音を響かせながら離陸すると、軽量な複合材ボディとエンジンのパワーが遺憾なく発揮され、急角度の上昇に移りました。
しなやかで美しいフライト

急旋回に入る際には、非常に長い翼がしなやかに曲がり、翼端で生じるベイパーが、機体の空力的な美しさを際立っていました。
A350-1000のデモンストレーションは、静かで効率的でありながら、必要に応じて高いパフォーマンスを発揮できるポテンシャルを証明するものでした。そのフライトは、長距離路線における快適性と経済性を高次元で両立させた、現代における最高の旅客機の一つであることを示していました。
航空の未来が垣間見える

これらのデモンストレーションは、各メーカーが追求するパワー、効率性、そして操縦性の革新を具体的に示すものでした。
航空技術の進化が止まることなく、より静かで、より遠くへ、より効率的に人々を運ぶ未来がすぐそこまで来ていることを改めて確信しました。
取材協力:エミレーツ航空
