Aviation Journalist

航空ジャーナリスト 北島幸司


静かに、次の主役たちが姿を現す——第55回パリエアショー開幕レビュー

2025/06/16 航空機・航空会社

■リヤド航空塗装のエアバスデモ機A321XLR(F-WWBZ)

第55回パリエアショーが、フランスはパリ郊外のル・ブルジェ空港で開幕します!
今回のショーでは、かつてのような大型機の派手な初飛行こそなさそうですが、「次に何が来るのか?」を静かに語りかけてくる構成となっています。主役は新興エアラインと、次世代中型機たちです。

発注予測も

■エンブラエルの展示機E195-E2(PR-ZIQ)

まず注目されているのが、エアアジアによるA220の大規模発注観測です。現地ではエアバス関係者の間で「ほぼ確定」と囁かれており、100機を超える可能性も。エアアジアにとっては初のA220導入であり、短中距離ネットワークの再設計を意味する大きな一歩となりそうです。

中東新興エアラインの勢い

■リヤド航空のボーイング787-9

一方で、会場で存在感を放っているのが、サウジアラビアの新興航空会社リヤド・エア(Riyadh Air)です。

パープルの差し色が印象的なA321XLR(エアバス社所有のデモ機にリヤド塗装を施したもの)と、B787の実機が登場、そのブランド力をしっかりとアピールしています。エアバスA350-1000を25機以上発注する見通しとされており、ショーの中でも「最大規模の注文になるのでは」と注目を集めています。

中東エアラインの新機材

■2024年9月に就航を開始したエミレーツ航空エアバスA350-900(A6-EXH)

そして既存航空会社勢で唯一、“機材の迫力”で観客を魅了していたのが、エミレーツ航空のA350-900です。今回展示された機体は近くドバイ〜リヨン線などに投入される予定で、同社が「次の世代」の主力として本格的に導入を始めるフェーズに入ったことを示しています。白い機体に金のロゴが映え、展示スポットに入る際には多くの来場者の視線を集めていました。

静かな転換点

■エミレーツ航空のエアバスA350-900

全体として、大型機の登場が目玉だった往年のエアショーとは異なり、今回は“静かで実利的な転換点”という印象です。



既存エアラインの意地

■リヤド航空のボーイング787-9

機材選定の焦点は、中型機による柔軟な路線設計へと移りつつあります。そして、存在感を増す新興キャリアたちが、機材選びを通じて「次の戦い方」を示し始めています。

今後の正式発注発表に注目しつつ、今年のパリは確かに“空気が変わった”と感じさせるスタートとなりました。

取材:そらオヤジ組

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