Aviation Journalist

航空ジャーナリスト 北島幸司


横田基地日米友好祭の現場を歩いてフレンドシップを理解した

2024/05/22 航空機

■航空自衛隊F15Jと記念撮影する参加者

横田基地は那覇、三沢とともに国内最大級の米空軍基地として、在日米軍司令官および第5空軍司令部と第374空輸航空団が所属する極東における主要基地になる。2024年5月18日と19日、この地で「横田基地日米友好祭2024」が開催された。

友好祭は48回目を迎え、米国と日本の友好関係を深めるための重要なイベントとして親しまれてきた。航空機の飛行展示や地上展示、音楽演奏、飲食ブースなど多彩な催しが行われ、日米間の絆を再確認する貴重な機会となっている。筆者は、好天だった初日に基地内を見てまわった。

会場に向かう

■最大参加機数のC130H

駅からの長い列から厳重な保安検査を通り、友好祭の会場に足を踏み入れると、まず目に飛び込んできたのは広大な駐機場に展示された横田基地所属のC130Hスーパーハーキュリーズの姿だ。北側の駐機場には、ずらりと並ぶ各種航空機の展示が見えた。

まず、最初に向かったのはメディアブースでの取材登録だ。会場中央部に建つ「在日空軍横田ベースオフィス」に向かい、許可を得て屋上で撮影の機会を得た。俯瞰して見ると、多くの人々の流れが見え、大きくな関心を得て開催されている実感がわいた。

地上展示機の数々

戦闘機や輸送機、ヘリコプターが整然と並び、訪れた人々の関心を引いていた。特に目を引いたのは第199戦闘飛行隊に所属する米空軍F-22戦闘機ラプターで、その鋭利なデザインと先進的な技術には圧倒されるばかりだった。

真珠湾ヒッカム統合基地の第15航空団に所属する米空軍のC-17グローブマスターIIIが展示されている。家族連れや子供たちは機体に入り込んで満面の笑みを浮かべていた。カリフォルニア州トラビス空軍基地に所属するC-5Mスーパーギャラクシーも参加し、航空ファンが押し寄せていた。

翼に涼む

盛夏のような気温となった基地内では、涼をもとめて参加者が地上展示する航空機の翼の下にできる影に入り込んで座る光景があちらこちらで見られた。普段見ることのできない光景に気持ちは明るくなった。

飛行展示も華麗に

航空機の飛行展示では、アメリカ空軍太平洋航空団PACAF所属、F16ファイティングファルコン戦闘機2機のパイロットたちの華麗な操縦技術が披露され、大空に描かれるアクロバティックな演技には観客から大きな拍手が送られた。飛び方を見ていると、僚機から撮影が実施されているような編隊での飛行にも思えた。また、救出デモンストレーションを行う第459空輸飛行隊に所属する米空軍のUH-1Nヒューイヘリコプターの姿もあった。

日本の民間機

横田は航空総体司令部を置く航空自衛隊の基地でもあるので、F2、T4、C130HとともにU-680AとF15Jも並んでいた。一角に日本の民間機でジェネラルアビエーション(GA)の機体が3機ならんでいるのが見えた。セスナ172、セスナムスタングC510とホンダジェットだ。

日米航空親善

■AOPA Japanの石塚修一さん

機体の横のテントでグッズを販売する石塚修一さんに話を聞いた。「私たちはAOPA Japan(日本オーナーパイロット協会)として出展しています。日本ではパイロットと言えばエアラインパイロットを指しますが、アメリカでは多くのGAパイロットが裾野を占め、その一角にエアラインパイロットがいます。お子さんや若い世代にパイロットを身近なものに感じて頂きたいと思います。2000年代に民間レベルで横田基地と管制の意見交換をしようと交流が始まりました。小さな外交といったところです。私自身は、本業は建築士ですが、飛行機が好きで自家用免許を取得しボランティアで色々お手伝いしています」という。日本でのパイロットの普及をあと押ししたい考えだ。

音楽イベントも

■航空自衛隊の中部音楽航空隊の演奏

基地内の格納庫と屋外に設けられたステージのバンド演奏に足を運んだ。ステージではアメリカのロックバンドや地元八王子の和太鼓グループが次々とパフォーマンスを披露し、会場は一体感に包まれているように見えた。

アメリカのガールズロックバンドが演奏するナンバーに続いて、航空自衛隊浜松基地所属の中部音楽航空隊の演奏もあり、日米の音楽文化が融合していた。音楽を通じて国境を越えた絆が生まれる瞬間が確かにあった。

賑やかな飲食ブース

飲食ブースも友好祭の魅力の一つだ。アメリカ風のハンバーガーやホットドッグ、ステーキやバーベキューといった料理が並び、多くの人々が列を作り、それぞれの料理を楽しんでいた。特に、「外人バーガー」のブースは大盛況で、調理するアメリカ人と注文する日本人の短いながらも和気あいあいとした交流を深める姿が見られた。「BIGステーキ500g」という表記で集客する人たちも陽気で楽しそうに働いている。食を通じて文化を共有することで、相互理解がさらに深まることを感じた。

参加者の意見

■軍用犬の様子

イベント中に話を聞いた参加者たちも、皆口々に友好祭の素晴らしさを語ってくれた。初めて参加したという若いカップルは、「アメリカの文化がこれほど近くで感じられる機会は貴重です。アメリカンフードは本格的ですし、普段見掛けない軍用犬も見ることが出来て満足です」と笑顔を見せていた。一方で、毎年欠かさず参加しているという地元の男性は、「この友好祭を通じて、日米関係の重要性を再認識できます。これからも続けてほしい」と語ってくれた。米軍関係者も「地域住民との交流の場として、この友好祭は非常に大切ですし、私たちも楽しんでいます」と話しており、双方にとって意義深いイベントであることが伺えた。

未来に向けて

友好祭を通じて感じたのは、日米関係が単なる外交的な結びつきではなく、個々の交流や文化の共有によって支えられているということだ。これからの日米関係を見据えるとき、このようなイベントの継続は重要であると筆者は強く感じた。特に若い世代にとって、友好祭は異文化への理解を深める絶好の機会であり、日米の絆が深まり、未来に向けて持続可能な関係が築かれることを願っている。

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