Aviation Journalist

航空ジャーナリスト 北島幸司


ソラシドエアの「ナッシージェット宮崎」は全国から宮崎へ旅行者を呼び込む

2023/03/07 航空会社

ポケモンとのコラボレーションとは


株式会社ポケモンは、2018年4月以降、北海道・岩手県・宮城県・福島県・三重県・鳥取県・香川県の各道県それぞれと協力し、地域活性化として「ポケモンローカル Acts」活動で様々な取り組みを行っています。宮崎県は2020年に本活動に参加。ソラシドエアは宮崎県とともに同社初となる全面塗装機「ナッシージェット宮崎」を2023年3月2日から就航させました。

【画像:ナッシージェット宮崎号】

ポケモンローカルActs活動

実はソラシドエアは2020年12月19日からおよそ2年間初代の「ナッシーリゾートin宮崎号」を就航させています。当時は、機体後部両面での塗装で、今回はバージョンアップ版というところです。  

【画像:ナッシーリゾートin宮崎号】



そらピカというプロジェクトもある

ちなみにスカイマークの行う「そらとぶピカチュウプロジェクト」は、同じ株式会社ポケモンが主導するプロジェクトながら目的や目指すところが違うものとなっており、外資系のスクート、チャイナエアラインズとティーウェイ航空が参画しています。

就航便は宮崎から那覇に飛ぶSNA067便となり、宮崎空港でセレモニーが開催されました。筆者は、就航前に羽田空港から宮崎空港に飛ぶデビュー前便に乗ってお見送りに参加しました。

【画像:宮崎空港で高橋社長らのお見送り】

羽田から就航前便に乗る

就航便を宮崎で取材する東京からのメディアはSNA051便羽田空港06:50に搭乗しました。まだ明るくなる前の羽田空港第2ターミナルビル54番ゲートには、沖縄で就航前整備を行ったボーイング737-800型機の機体番号JA803Xが姿を見せていました。

搭乗改札機にもナッシーのステッカーが貼られています。改札機を抜けると駐機場にある機体が徐々に近づき目に入り、テンションはあがります。機内に入ると、ナッシーが描かれたヘッドレストカバーが目に飛び込んできました。機体後部まで並び、明るく見えます。機内は随所にナッシーがあしらわれます。
【画像:機内で笑顔を見せるCAのお二人】

機内の様子

テーブルを収納した状態で、外側に貼られる列を示すアルファベットA~Fにそれぞれ違うポケモンが描かれ、テーブルを広げるとカップホルダーになる部分にモンスターボールが見えています。オーバーヘッドビンにある座席番号案内の7列目と4列目には特別な案内板になっています。7と4でナッシーですね。細かいところまでデザインの気遣いが感じられます。
お手洗いにもナッシーとともにアローラライチュウが手を洗う姿を描いたステッカーが貼られています。

【画像:シートナンバー案内札を指すCA】

ナッシーデザインカップでドリンクサービス

機内では、ドリンクサービスが始まりました。専用カップは全面に機窓に写るナッシーのデザインになっており、持って帰りたくなるデザインです。後方担当のCA釜澤あみさんが笑顔でサービスしてくれました。

【画像:CA釜澤さんのドリンクサービス】

機内でCAに聞いてみた

サービスの落ち着いた機内で、CAの飯塚愛海(いいづかめぐみ)さんに就航初便に乗務できた感想とポケモンについて聞いてみました。「私自身このような就航便に乗務するのは初めての事で緊張もしていますが、楽しんで仕事しています。また、幼い頃にポケモンに親しんでいましたので、懐かしい気持ちです。」と語ってくれました。

【画像:CAの飯塚さんに聞いた】

宮崎発でセレモニー開催

宮崎空港では、羽田からの到着便の次のフライトとして就航セレモニーを伴うSNA67便那覇行きが正式な初便としてアサインされており、丁度テープカットの時間に間に合うタイミングでした。

その後、宮崎のメディアと合流し、ランプサイドに降り飛行機を間近に見ながら、お見送りの様子を取材しました。ナッシーの着ぐるみも、首からブーゲンビリアのレイを掛け、宮崎の広報大使を勤めます。身体をゆすっての愛らしい挨拶に、展望デッキで見る人たちも明るい気持ちになったことでしょう。

高橋社長らとCA2名が横断幕を持ち、搭乗客に手を振ります。自走開始やその後の離陸まで大きく手を振り、これから3年間の予定で全国を飛び回るナッシージェット宮崎号を見送りました。

【画像:宮崎空港で那覇行きとなるナッシージェット宮崎号】

高橋社長へインタビュー

取材の最後に高橋社長を囲んだメディアの囲み取材がソラシドエア宮崎本社ロビーで開かれました。

【就航初便を迎えた本日の気持ちをお聞かせください】
「お客様も同じだと思いますが、私もワクワクしています。あの機体をみると凄いというか何とも楽しい機体になったと思います。」

【プロジェクトはどのように進んでいったのでしょうか?】
「株式会社ポケモンがデザインを何度もやり直してくれて、あのような緑の大地と海の斬新なデザインが生まれました。たくさんのポケモンを描いて頂き有難いと思います。」

【プロジェクトの目的は?】
「ナッシージェットが就航各地をまわってお客様をナッシーリゾートの宮崎県にお連れするのが目的です。就航スケジュールもホームページに案内しており、広まることを期待しています。」

【機内は凝ったデザインですがどのように楽しんで頂きたいか】
「ヘッドレストカバー紙コップ、トレー、座席案内板のデザインなど各所に工夫してあり、それを発見して頂くのも楽しみではないか。CAのエプロンも凝ったものになっています。」

【乗って何を感じて欲しいか】
「ポケモンと宮崎県の連携協定に則ったプロジェクトであり、コロナ禍で傷んだ観光業界を活性化させていきたい。」

【同じアライアンスのAIRDOさんもロコンジェットと飛ばしています。この先、何かコラボレーションがあるのでしょうか】
「北海道として先にポケモンさんのローカルActsプロジェクトに参画し、AIRDOさんがロコンジェットを就航させました。たまたまアライアンス仲間で同じプロジェクトを始めましたので、仰る通りこのチャレンジが順調に進めば何か考えられると思います。」

【画像:インタビューを受ける高橋社長】

心に残る機長のアナウンス

最後に羽田から宮崎空港への機内で聞くことのできたアナウンスを再現してみよう。
「当機は24000フィート(7300m)時速700㎞で順調に飛行を続けています。間もなく紀伊半島を通過し、その後四国日向沖を通過していきます。宮崎には定刻より5分早く到着予定です。現地は晴れ、摂氏10度の予報です。

ソラシドエアは創業以来宮崎を拠点としており、県の木「フェニックス」をアイデアにしてポケモンのナッシーとコラボレーションができました。今後、ナッシーは、高度41000フィート(12500m)で最大時速1100km/hで空を飛ぶ能力を身につけます。

本日の副操縦士は外園、客室には4名の客室乗務員がおり、運航乗務員は全てポケモン大好きで構成されております。引き続きナッシー達との空の旅をお楽しみください。」詳しいアナウンスが楽しかった。

【画像:機内で配られた搭乗記搭乗記念証など】

日本全国で宮崎をアピール!

世界一のキャラクターとしてポケモンは人を動かす力を持っている。ローカルActsであれ、そらとぶピカチュウプロジェクトであれ、コロナ禍で疲弊したエアラインが活性化する一助になるのであれば素晴らしい活動だと言える。

【画像:宮崎空港でナッシージェット宮崎号の左側面を見る】

取材協力:ソラシドエア


■公式サイト : https://www.solaseedair.jp/

Koji Kitajima(きたじま こうじ)


日系、外資エアライン計4社で30年以上勤務し、旅客、貨物業務を空港と営業のフィールドでオールマイティに経験しました。航空ジャーナリストとして世界の航空の現場を取材し、その内容をわかりやすく伝えます。航空旅行の楽しさを「空旅のススメ」ブログにて発信中。
航空ジャーナリスト協会に所属しています。

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