Aviation Journalist

航空ジャーナリスト 北島幸司


ヴァージン・オーストラリア航空がナローボディ機で日本最長の7時間越え東京/ケアンズ路線就航へ

2022/12/21 航空会社

■ケアンズ⇔羽田の新規路線
ヴァージン・オーストラリア航空(VA/VOZ)は12月14日、オーストラリアのケアンズと羽田空港を結ぶ路線を2023年6月28日(水)にANAとのコードシェア便で新規開設する計画を発表しました。

この路線は、羽田空港の新規発着枠を利用し、同社が2020年の夏スケジュールからブリスベン発着で運航を開始する予定だったものです。コロナ禍で運航断念になるどころか、同社は2020年4月21日付けで経営破綻してしまいました。

ヴァージン・オーストラリア航空の就航発表会でポーズを取る客室乗務員(VA提供)

その後は、アメリカの投資会社ベインキャピタルが買収し、経営再建を図りました。長距離運航機材のボーイング777-300ERとエアバスA330-200を売却し、ボーイング737-800型機に機材を統一した上で国内線の運航に集約したのです。

ヴァージン・オーストラリア航空のボーイング737-800型機(シドニー空港)

■再就航計画となる
コロナ禍によって断念した日本路線就航計画は、当初のブリスベンからケアンズに変えての運航となりました。驚くべきことは、使用される機材。

2020年の就航時には同社の持つワイドボディ機のボーイング777-300ERとエアバスA330-200のうちエアバス機を使用する予定でした。今回、発表された運航機材はナローボディ(狭胴)機のボーイング737-8(737-Max8)なのです。

ヴァージン・オーストラリア航空の機体と客室乗務員(VA提供)

同型機の航続距離は3,550nm(6,568㎞)であり、ケアンズの3,651nm(6,754㎞)は航続距離を越えており、増槽タンクの装備をしてくる可能性があります。発着地をブリスベンからケアンズに変えたのも、865nm(1,600km)日本に近いことも理由に挙げられるでしょう。

ヴァージン・オーストラリア航空のボーイング737-800型機(シドニー空港)

■運賃は
ヴァージン・オーストラリア航空はケアンズ発AUD699(約65,000円)の「ハロートウキョウ」セール運賃を発表しており、日本発運賃は2023年初頭より販売を開始します。ヴァージン・オーストラリア航空はLCCではありませんが、エコノミークラスでは無料の紅茶、コーヒー、水のみの提供となり、食事は購入することが必要です。

ボーイング737-800機内(VA提供)

■大々的な就航発表
就航記念のリリースでは、ヴァージン・オーストラリア航空ジェインCEO以下6名の祝辞が寄せられており、そこには在ブリスベン日本国総領事館の小野総領事の言葉も掲載されて、同社の力の入れようがわかります。

ジェインCEOは次のように語りました。「ヴァージン・オーストラリアはクイーンズランド州が誇りとする企業であり、象徴的な目的地の間に毎週2,000席以上を追加できることを嬉しく思います。これは、日本への旅行を希望するオーストラリア人にとってより多くの価値を生み、選択肢が増えることを意味します。重要なのは、グレートバリアリーフやウィットサンデー諸島などの比類のない自然の驚異を楽しむために、より多くの日本人観光客をサンシャインステートに迎えることができることです。」

ヴァージン・オーストラリア航空の就航発表会の様子(VA提供)

■世界のナローボディ機長距離運航
現在、世界の中で同型機ボーイング737Max機での最長路線は、ブラジルのGOLが持つブラジリア(BSB)と米国オーランド(MCO)を結ぶ3,793nm(6,846㎞)とブラジリアとメキシコのカンクン(CUN)間3,674nm(6,797km)が世界1,2位であり、羽田とケアンズは3,651nm(6,754km)で世界第3位の長距離であると推定されます。

東京路線の発表は、社内の変革プログラムの第1段階が完了し、マイレージ会員のVelocityの1,100万人の達成を祝った後、黒字に戻ったヴァージン・オーストラリアにとって特別な年の締めくくりとなります。

ヴァージン・オーストラリアグループのジェーン・フルドリッカ最高経営責任者(CEO)-VA提供

日本発国際線でナローボディ機の最大運航距離になることは間違いなく、経営破綻後3年での路線復活を祝したいのと同時にナローボディ機での長距離運航として今後の動向に注目していきます。



ヴァージン・オーストラリア航空の就航時刻表

Koji Kitajima(きたじま こうじ)


日系、外資エアライン計4社で30年以上勤務し、旅客、貨物業務を空港と営業のフィールドでオールマイティに経験しました。航空ジャーナリストとして世界の航空の現場を取材し、その内容をわかりやすく伝えます。航空旅行の楽しさを「空旅のススメ」ブログにて発信中。
航空ジャーナリスト協会に所属しています。




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