ピカチュウジェットとは
ポケモンはゲームやアニメを通じて戸外での冒険を表現してきました。コロナ禍によって自由に出歩くことを制限された時期を経て、もっと自由に外に出てワクワクできる時間を提供したいと株式会社ポケモンのプロジェクト「そらとぶピカチュウプロジェクト」は始まりました。世界中に広がったポケモンファンにもっとポケモンの楽しさを伝えたいとの思いがあります。

2021年にスカイマークで始まったプロジェクトはアジアの空に広がることになりました。シンガポールの LCC スクートは 8 月12 日にボーイング787-9型機「ピカチュウジェット TR」を就航させると発表し、9 月 9 日にシンガポール発成田空港行きで初便を就航させました。続いてチャイナエアラインはエアバスA321の「ピカチュウジェット CI」を 10 月 2 日から台北松山空港と羽田空港間で運航を開始しました。

各社の呼称には各エアラインの認識コードとなる IATA 2 レターコードを付与していることで差別化をしています。

今回、就航開始したスクートのピカチュウジェット TR の成田国際空港発初便に搭乗しましたので、当日の様子をお知らせします。

9 月 9 日午前9時ころの成田国際空港ターミナル 1 の 37 番ゲート付近では、搭乗客が集まり始めており、フォトセッションが行われました。

株式会社ポケモンの執行役員 福永 晋（ふくなが すすむ）さんとスクートの日本支社長 比留間 盛夫(ひるま もりお)さんをはさむようにスクートの客室乗務員スクーティーとパイロットの制服を着たピカチュウの着ぐるみで記念撮影が行われました。その後、初便で出発する乗務員全員が集合し、自撮りする微笑ましい光景も見られました。

シンガポール発の初便は成田国際空港に到着し、ゲートから見える位置に姿を現しました。ボーイング 787-9（機体番号 9V-OJJ）は、白色を基調に、花びらや葉っぱが舞う光景は、花の香りをイメージしています。機体にはピカチュウ、ピチュー、シェイミ、コダック、ラプラス、セレビィ、メガニウムが描かれており左右エンジンのカウリング内側には搭乗した一部の人にだけ見えるポケモンが隠されています。

機体に向かうと、搭乗ドアが開いた場所は、ピカチュウが風船をくくりつけているバルーンの 4 色が重なる場所であり、近くでみるとその巨大さがわかって面白いですね。

機内は、手荷物収納棚に最後部までシールが貼られていることに加え、エコノミークラスではヘッドレストが専用のものになっていました。

日本をイメージした新メニュー「ジンジャー照り焼きチキンご飯付き」を事前に予約しており、待っていると紙ナプキンや紙コップに専用デザインが用意され、オリジナルデザインのクッキーの入る箱も添えて、楽しい食事時間を演出してくれました。

食後にゆったりと過ごしていた離陸後 3 時間を経過した頃、機内の照明はレインボーに変わりました。何か始まるぞという期待感とともに、機内で音楽が流れ始めました。機内アナウンスでスクーティーがダンスを披露すると言っています。機内コンパートメントの間の乗降ドアのある空間で、ポケモンのテーマソングに合わせてスクーティーが踊り、希望する乗客も飛び入り参加し、楽しい時間を過ごすことができました。

続けて間違い探しゲームが行われました。希望者にはカードが配られ、左右の絵から間違いを捜し出し先着順でポケモングッズが渡されます。その後もスクーティーは、キャラクターのデザインされた沢山のフリップを持ち、機内を巡り、記念撮影に応じていました。

日常から飛び出す楽しい機内
スクートは合言葉に「Escape the ordinary=日常から飛び出そう」と掲げており、機内で過ごす時間を楽しく演出してくれていました。時間の経過が短く感じられるフライトでした。

ポケモンのゲームの中では外に出て楽しむ「ポケモンGO」が今回のそらとぶピカチュウプロジェクトで親和性が高いと言われます。11月になると18日～20日の3日間、「ポケモンGOサファリゾーン：シンガポール」の名のもと大々的にイベントが開催されます。「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」をメイン会場としてシンガポール市内全域でポケモンGOを楽しめる3日間となります。

スクートではこのイベントの期間中もピカチュウジェットを運航することを発表し、年内スケジュールを公開しました。
2022年11月12月のピカチュウジェットTR運航スケジュール
運航日 曜日 フライト No. 路線
11月16日 水 TR808 シンガポール (SIN) – 成田 (NRT)
11月16日 水 TR809 成田 (NRT) – シンガポール (SIN)
11月25日 金 TR898 シンガポール (SIN) – 台北(TPE) - 成田 (NRT)
11月25日 金 TR899 成田 (NRT) –台北(TPE) - シンガポール (SIN)
12月1日 木 TR808 シンガポール (SIN) – 成田 (NRT)
12月2日 金 TR809 成田 (NRT) – シンガポール (SIN)
12月16日 金 TR898 シンガポール (SIN) – 台北(TPE) - 成田 (NRT)
12月16日 金 TR899 成田 (NRT) –台北(TPE) - シンガポール (SIN)

スクートは受賞エアライン
スクートは、Skytrax社による「World Airline Awards　2022」にて「Best Long-Haul Low-Cost Carrier」賞を受賞。また31st Annual TTG Travel Awards 2022にてアジア太平洋地域における「Best Low-Cost Carrier」賞を再び獲得しました。両賞の受賞は2度目であり、昨年に続き連続受賞となりました。

取材協力：スクート　⇒　https://www.flyscoot.com/jp

Koji Kitajima（きたじま こうじ）

日系、外資エアライン計4社で30年以上勤務し、旅客、貨物業務を空港と営業のフィールドでオールマイティに経験しました。航空ジャーナリストとして世界の航空の現場を取材し、その内容をわかりやすく伝えます。航空旅行の楽しさを「空旅のススメ」ブログにて発信中。
航空ジャーナリスト協会に所属しています。