Aviation Journalist

航空ジャーナリスト 北島幸司


おひとり様集合!ジェットスターでハートの航路を出雲へ

2022/07/10 航空会社

【写真:機内にてマッチングアプリ専門家 伊藤さんとジェットスター・ジャパンのキャビンクルー】

ジェットスター・ジャパンと島根県の主催で行われたのは、「ジェットスター・成田発特別チャーター便で行く、出雲大社 えんむすびの旅」。全国の未婚男女100人を募集し、25,000円の七夕日帰り旅を実施しました。

【成田空港に集合】
成田空港第3ターミナルビルに7:00の受付開始とともに、北海道から熊本までの全国各地に在住する男女が集まりました。一行は、163番ゲートよりジェットスターGK7777便のエアバスA320(JA25JJ)に乗り込みます。

成田空港に専用チェックインカウンターが設けられました

【機内機内イベント開始】
機内の座席配置が独特です。3-3配列の窓側に女性が座り、通路側には男性。中間席は空いており、コロナ禍対策も万全です。

巡航になると、機内ではお茶とワッフルのサービスが行われました。

今回のチャーター便実施には、マッチングアプリの「OMIAI(オミアイ)」が協力しており、マッチングアプリ専門家の伊藤早紀さんの進行でイベントが行われました。

通路側の男性が3分毎に機内通路を時計回りに移動して、女性と会話する時間が設けられました。参加者は事前にプロフィールカードを作成しており、それをもとに会話が弾みます。移動しやすいように、ひじ掛けが全て上にあげられた機内の様子は普段見慣れないだけに新鮮です。

機内で話がはずむ参加者の二人

機内アナウンスで何度も案内がありましたが、熱気による機内温度の上昇によって、普段の設定よりも低めにしたとのこと。

その後、希望者の機内アピールの時間が設けられ、4人の男女が機体前方でキャビンクルー同様にアナウンスし、皆は聴き入ります。海外旅行が趣味で、その経験を共有したいという人や、飛行機好きで一度アナウンスがしてみたかった人など、大いに沸いていました。

途中、岩崎敏幸機長(39)から挨拶がありました。「出雲の天候は晴れ、気温は26℃と縁結びの旅にはぴったりの天候です。この先の航路、ところどころ気流の影響で皆様のドキドキのハート同様揺れることが予想されますが、飛行機は揺らさないようにして参ります。私は出雲市出身で本日の操縦担当となりました。皆様が訪問する場所も私には懐かしい場所ばかりです。美味しい島根ワインの力も借りながら観光デートを楽しんで来てください。本日は皆様に素敵なご縁がありますように」

機体は出雲縁結び空港に向かいます。その航路はなんとハート型。成田から名古屋上空で北に向かい、小松で西へ、宮津上空でへこみを作り、鳥取、徳島、串本を結ぶ大阪を中心とした大きな経路となりました。普段より時間の長い2時間半ほどのフライトです。機窓も話題になりながら、熱心にお気に入りの相手との会話で盛り上がっているようでした。

【ワイナリーで昼食】
出雲縁結び空港へのLCC就航は初めてのこと。到着口で横断幕が掲げられ、島根県の観光キャラクター「しまねっこ」も手を振る地元の歓迎を受けて、一行はバスに分乗して島根ワイナリーへ向います。バス車内や昼食会場も席が決まっており、多くの人との出会いの場が設けられています。


乾杯する参加者

迎える側の出雲市観光課や出雲観光協会からの挨拶があり、テーブルを囲んで地元ワイン「縁結」での乾杯がありました。

地元の厳選素材がふんだんに使われたメニューは、島根和牛、出雲そば、のどぐろ丼などの豪華な品揃えです。和気あいあいとした食事時間はあっという間に過ぎていきました。

地元素材の豪華なメニュー

【稲佐の浜へ】
次にご利益のあるという砂を集めに稲佐の浜へ向かいます。同地の砂を出雲大社の素鵞社(そがのやしろ)にてお清めの砂と交換し自宅に撒くとご利益があるとのことです。

稲佐の浜で砂を集める参加者

【出雲大社でご縁祈願】
出雲大社の凛として勇壮な鳥居から石畳を踏みしめ、本殿に向かう道のりは距離があるものの、話の弾むカップルには近いと感じられたことでしょう。

大社入り口の大鳥居前で記念撮影

境内で記念ショットを

途上、ムスビの御神像で記念撮影などしながら、素鵞社に向かいます。それぞれが新たな出会いを祈願しつつ砂を詰め替えました。

神楽殿の大注連縄を詣でることも忘れません。長さ13mで重さ5.2tの縄は圧倒的なパワースポットとしての存在感を感じます。

大注連縄前でのカップル

参拝のあとは、参道に散らばるスタッフを見付けてフリップを使いツーショットで記念撮影をします。カップルの中から抽選で選ばれた当選者は、帰路の機内では隣同士になるように5組の男性のシートチェンジが行われました。

【ジェットスター・ジャパンに聞く】
チャーターを企画したジェットスター航空PR課長の島恵美子さんに話を聞きました。「コロナ禍で出会いが減ったと聞きました。旅と出会いのきっかけを作りたく企画しました。企画は昨年暮れから動き出し、出雲市の協力を得ながら冬場の視察を経て実行しました。今後も皆様の期待に応えられるように、あらゆる可能性を考えて企画を作ります。」とのこと。

記念品の「五縁の味わいひとくち饅頭」を手にするあいさんとりょうさん

【参加者に聞く】
今回、カップルとなった静岡県島田市在住の「あい」さん(23歳)と埼玉県所沢市在住の「りょう」さん(26歳)に帰路の機内で話を聞くことができました。あいさんは「この企画はTV番組で紹介されていたのを見たことが応募のきっかけです。出会いの場が無く、今回はいい機会だと思いました。日帰りの旅でしたが、企画が盛りだくさんで楽しめました。同性の友達もできましたので、良かったです。成田に着くのは遅い時間ですので、急いで静岡まで帰ります」。りょうさんは「グーグルニュースでこのツアーを知りました。飛行機が好きなのと、出会いがあればという思いから参加しました。楽しかったです」と嬉しそうに話してくれました。

初めて出雲縁結び空港に乗り入れたジェットスター・ジャパンの機体

【次の企画に繋がる】
機内婚活チャーターはおそらく初めての試みでしょう。飛行機と旅が好きという参加者が多かったことからも、同じ趣味を持つ人たちで話が盛り上がりました。マッチングアプリ専門家の伊藤さんは、「普段のイベントよりもカップルの成立は多かったようです」と話していました。

ジェットスター・ジャパンにとっても企画の経験の積み重ねが、今後の定期就航に繋がる可能性もあります。取材する側も笑顔になれるいい体験でした。

取材協力:ジェットスター・ジャパン ⇒ https://www.jetstar.com/jp/ja/

Koji Kitajima(きたじま こうじ)


日系、外資エアライン計4社で30年以上勤務し、旅客、貨物業務を空港と営業のフィールドでオールマイティに経験しました。航空ジャーナリストとして世界の航空の現場を取材し、その内容をわかりやすく伝えます。航空旅行の楽しさを「空旅のススメ」ブログにて発信中。
航空ジャーナリスト協会に所属しています。



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