エアバスA220はA320の弟分!どんな飛行機か
2022/06/14 航空機A220の歴史
エアバスA220はもともとカナダのボンバルディアが設計、生産した100席台前半の小型ジェット旅客機です。2008年に開発が始まり、2013年8月に初期生産型のCS100が初飛行し、のちCS300が2015年2月に初飛行しました。
【画像:ドバイエアショーで新塗装を披露】
A320と比べたA220
ボンバルディアはCS型小型ジェット旅客機の他にリージョナル市場にCRJ機を持ち、更にビジネスジェットの生産をしていました。リーマンショックでの世界情勢や、ボーイングとエアバスの寡占化が進み、思うように売れず2018年7月CS型機事業をエアバスに売却しました。
【画像:エアバス提供】
エアバスのデモ機
ターボプロップ機で日本でもおなじみのDHC8-Q400シリーズは、2018年11月にはボンバルディアの手を離れ、バイキングエアの親会社、ロングビュー・アビエーション・キャピタルのもとでデハビランド・カナダの商標を購入し、今に至ります。
更にCRJ機は、2020年6月1日付けで当時Space Jetの開発に他社の技術が必要と判断した三菱重工業の傘下に入り、MHIRJとして新たなるスタートを切っています。
今ではボンバルディアにはビジネスジェットの製造だけが残されました。
窓の大きい小型機
どんな飛行機か
CS機はにエアバスの新シリーズとして商業航空機のラインナップに加わることとなりました。エアバスではCS100はA220-100、CS300はA220-300との呼称が付与されています。
現時点で110席クラスのA220-100型機は103機の受注を受け55機を納入。130席クラスのA220-300型機は638機の受注を受け、157機を納入済です。
この機体を同クラスのエアバスA319neoと比較した表を以下ご覧に入れたいと思います。
機体比較
と言うことで、充分な性能を持ちながら320シリーズの機体よりも10%ほど安い価格設定になっていることから、これからもっと売れる機体ではないかと想像します。
ファーンボロエアショーでのA220
実機を見る
筆者が実際にパリ、ロンドン、シンガポール、ドバイと各エアショーでAir BalticのA220-300を見てきましたので、どんな機体なのかご紹介したいと思います。
この機体にはPratt&WhitneyのPW1500Gエンジンが搭載されています。ターボファンエンジンの中では世界で最も高いバイパス比(12:1)の1つを誇り、排出量の削減、騒音の削減、燃料の燃焼の削減を実現します。
広々とした明るい機内にたつAir Balticの客室乗務員
機内に入ると、窓が大きくキャビンが明るく感じます。頭上のオーバーヘッドビンはクラス最大と言います。リージョナルジェットとA320などのナローボディ機の中間の機体幅から、左舷2席、右舷3席が標準となっており、ビジネスクラスでは2-2配列も設けることができます。
窓が大きい
座ってみてわかるのは、大きな窓からの眺め。楕円形に近い窓の形が強調された内装になっており、目にも優しい形状です。Air Balticでは、座席背面にモニター画面は装備されていませんが、上部に機内誌や安全のしおりを入れる場所もあり、薄型のシートとあいまって座席周りは広く感じます。
座席
機体前後のギャレーは狭いものの、機能的に造られている気がします。また、ラバトリーも狭さを感じますが、A320シリーズの新型機にも通じる洗面部分のコンパクトさから来るもので、これも慣れれば気にならなくなります。
コックピット
コックピットに入ると、視野の広い前方の2枚ガラスが目に入ります。計器では4面の大型LCDモニターが配列されています。特徴的なのは、従来右席寄りに配置されていた車輪の操作レバーが完全に中央部にあること。操縦かんは、エアバス社と同様のサイドスティックになっていました。
大きな窓から機窓もばっちり
2022年5月9日に羽田空港に飛来したAir BalticのA220-300の機内が公開されました。アジアではまだ大韓航空が導入しただけですが、最新のオーダーでは米国のジェットブルーが大型発注をしています。2018年にオーダーした70機に更に加えて30機のA220-300を追加したものです。コストと性能が見合った機体として、人気が出てきておりエアバス社内でも比較される機体になりそうです。
Koji Kitajima(きたじま こうじ)
日系、外資エアライン計4社で30年以上勤務し、旅客、貨物業務を空港と営業のフィールドでオールマイティに経験しました。航空ジャーナリストとして世界の航空の現場を取材し、その内容をわかりやすく伝えます。航空旅行の楽しさを「空旅のススメ」ブログにて発信中。
航空ジャーナリスト協会に所属しています。