Aviation Journalist

航空ジャーナリスト 北島幸司


ドバイエアショーをあるく 日本就航エアラインも頑張る

2022/03/29 航空会社

ドバイエアショーにおける日本就航エアラインのエミレーツ航空、エティハド航空とエチオピア航空をご紹介します。

エミレーツ航空のフラッグシップ機エアバスA380のA6-EVQは納入された123機のA380のうち最後から数えて3番目の機体。2021年10月に受領したばかりです。2021年12月に迎えたアラブ首長国連邦建国50周年の記念塗装をまとっていました。機体側面に50の文字が入るだけでなく、ゴールドの流れるようなデザインが機体の大きさを引き立たせています。

A380の機内へ

タラップで機体後部から機内に入り、エコノミークラスを見た後に2階にあがります。2階ではビジネスクラス、ファーストクラスを見学し、前方階段で1階に下ります。今、エミレーツ航空が最も力を入れるのは最前方に設置されたプレミアムエコノミークラスが姿を現します。そして前方タラップで地上に降りるようになっていました。

エコノミークラスでも12.1~13.3インチのインフライトエンターテインメント画面が装備され4500以上のプログラムが楽しめます。A380の最新装備では、3-4-3配列でブルー生地にグレーのヘッドレストの爽やかな色調が広い機内を更に大きく見せています。

アッパーデッキへ

後方らせん階段で2階に向かうと、上級クラス用の施設があります。後部中央には華やかな馬蹄形のバーカウンターがあり、両脇にソファー席が設けられています。左右でデザインの違う白いレザーシートで、テーブルの上には花が生けられており、カーテンを使用する窓からの眺めもまた客席からは違うものに見えるはずです。アルコールで乾杯すれば、空の上の歓談は話が弾むことでしょう。

上級クラスへ

前方を向くと余裕の1-2-1配列のビジネスクラスが目に入ります。ベージュの革張りシートは仕切りが高く、座ってみるとかなり個室感が高いことがわかります。収納もかなり贅沢に広く用意されていました。

2階席前方は1-2-1のファーストクラスが見えてきました。スライドドアで個室になる仕様です。座席周りにミニバーやアメニティが並ぶ設備があるエアラインは他では見かけません。インフライトエンターテインメント画面に横にあるスタンド照明も、豪華さを際立たせています。

更に前に向かうと一階に降りる階段が中央部に、左右にシャワースパが設置されています。スライドドアで中に入るとパウダールームが現れます。広さを感じさせるミラーの使用で、シャワー利用が終わってもゆったり身支度ができるようになっています。多くのアメニティが並び、ここだけを見ればどう考えてもホテルの一室にしか思えません。

機内に石庭?

階段の前には客席と仕切られる位置に日本の伝統美、枯山水の庭を思わせる水の流れる装飾のあるのが驚きです。底には石が敷き詰められ、急須と湯呑も用意され本格的です。機内で流れる水流を見ていると、心が落ち着きます。この部分は機内においてファーストクラスエリアでエンジンから遠く、機内で一番静粛な場所という理由で設置されたと思われます。

1階前方には今後、エミレーツ航空が105機のエアバスA380とボーイング777-300ERの機材改修を行って装備するプレミアムエコノミークラスがあります。2-4-2配列で白いレザーシートにレッグレストも装備されていました。この先数年間エミレーツ航空で販売に力が入るクラスが登場したことになります。改めてタラップの下から機体を振り返ると、巨大さがもたらす安定感をじっくりと感じることができます。

エティハド航空は最新の2機種を披露

エティハド航空は、エミレーツ航空と同じUAEのエアライン。ドバイの南に隣接する首都アブダビを拠点としています。エキスポ2020ドバイの会場も遠くはなく、航空券の購入で入場券がプレゼントされるキャンペーンはエミレーツ航空と同じです。20020年の輸送力(RPK)で世界38位はJALやキャセイパシフィック航空の少し下という位置にいます。

サービスレベルの高い中東御三家エアラインの1社で、最新鋭機のボーイング787-9、787-10とエアバスA350-1000を含む90機の機材構成になっています。ドバイエアショー会場にはボーイング787-10(A6-BMH)とエアバスA350-1000(A6-XWB)の2機を地上展示していました。A350-1000のブルーライナーは、飛行展示開幕時のアクロバットチームとのフォーメーションフライトも実施しており、空と一体化した印象に残るフライトを披露してくれました。

機内へ

両機ともに最新鋭機であり、ビジネスクラスは1-2-1、エコノミークラスは3-3-3と標準の仕様です。エコノミークラスのヘッドレストは、長距離フライトでも快適なように、可動式で安定して頭部を支えてくれる仕様です。エティハド航空の客室乗務員は、黒の革手袋を装着していることで、より格調が高く印象が良くなります。ホテルでサーバントにもてなしを受けている雰囲気と言ってもいいでしょう。

スマートな客室乗務員

スマートな客室乗務員にドアの前のタラップに立ってもらいました。ブルーライナーの美しい機体カラーに映えるワインレッドの制服が太陽の光の下でまぶしく光っていました。

エチオピア航空も最新鋭機を用意

エチオピア航空は、最新鋭機を導入するアフリカ大陸最大のエアラインです。輸送力もエティハド航空を追いかける世界第42位で大韓航空の次の位置につけています。ドバイエアショー会場では、A350-900(ET-AYA)を地上展示していました。ビジネスクラスは「クラウドナイン」と名付けられた30席が用意され、318席のエコノミークラスとともに348席のレイアウトです。現在16機を保有し、更に6機がフリートに加わります。

燃える大地

機内に入ると、1-2-1配列のビジネスクラスが見えます。赤茶色のシートがアフリカの熱い大地を思わせ、グレーのヘッドレストがアクセントになって上質な空間を演出します。3点式シートベルトが安心感をもたらします。全体的に丸みを帯びたデザインで、目にも優しく居心地良く過ごせるように設計されていました。

アフリカの森の大地で鮮やかに

エコノミークラスは、黄土色を基本としたこれもアフリカの大地を思い起こさせる色合いのシートが並び、赤・黄・黄緑と3色ロゴマークのヘッドレストが目立ちます。

民族衣装を思わせる客室乗務員の白い制服は清潔で、シートの色合いと良くマッチして落ち着きをもたらせてくれます。

中東UAEの2社とアフリカの1社をご紹介しました。これら、遠い国のエアラインですが、日本への路線を持ち、その気になればいつでも搭乗可能なところがいいですね。

Koji Kitajima(きたじま こうじ)


日系、外資エアライン計4社で30年以上勤務し、旅客、貨物業務を空港と営業のフィールドでオールマイティに経験しました。航空ジャーナリストとして世界の航空の現場を取材し、その内容をわかりやすく伝えます。航空旅行の楽しさを「空旅のススメ」ブログにて発信中。
航空ジャーナリスト協会に所属しています。

■プロフィール : https://airport.aviationworld.jp/koji-kitajima.html



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