Aviation Journalist

航空ジャーナリスト 北島幸司


ドバイエアショーをあるく 日本未就航エアライン編

2022/02/21 航空機

ドバイエアショーでの地上展示機は、中東とアフリカを中心に欧米のエアラインも出展していました。そこで、今回は日本に未就航で馴染みの薄いエアラインの展示機についてご紹介します。

アフリカ中央部東側にあり、ウガンダのエンテベを拠点とするのはUganda Airlinesです。エアバスA330neo(5X-NIL)を地上展示していました。

就航路線を見ると欧州はロンドン、中東はドバイ、アジアでは中国の広州まで路線を広げており、米国はこれからのようです。同社はリージョナル機とワイドボディ機のみの機材構成で、CRJ900を4機とA330neo2機を保有しています。2019年4月にCRJ機を受領し、その後8月に就航開始した歴史の浅いエアラインです。A330neoは2020年12月に受け取ったばかりです。

同社のA330neoは少数派の-800型で、エアバスが世界で15機受注したうちの2機がウガンダ航空にあります。ドバイエアショー会場の展示機機内に向かうとまずはコックピットでマサバ機長が迎えてくれました。従来機との違いを新しいフライトマネージメントシステムで説明してくれました。

ウガンダ航空のマサバ機長

ビジネスクラス20席、プレミアムエコノミー28席、エコノミークラス210席を装備しています。ビジネスクラスは1-2-1配列でアフリカの大地をあらわすかのように茶色いシートが並びます。

アフリカらしい機内食カート

ギャレーでは客席にミール類を運ぶカートの側面にゴリラの画像があり、「Welcome to the pearl of Africa」と書かれているのを見ることができました。どのように美しい国なのかと想像するもの楽しいです。エコノミークラスもビジネスクラス同様にアフリカを思わせる黄土色のシートが並びます。

ガルフエアの機体

中東バーレーンを拠点とするGulf Airはボーイング787-9(A9C-FG)を創立70周年の記念塗装機で披露していました。1950年創立であり、首都マナーマ市のバーレーン国際空港からアジアではバンコク、マニラ、シンガポールなどへ就航しています。

現行塗装は、ゴールドを中心に尾翼のファルコンが大きく描かれています。今回のレトロ旧塗装は、ゴールドにレッドとグリーンが足された鮮やかな色調が目立っていました。

落ち着いた色のシートが並ぶ

機内に入ると、グレーの制服に鮮やかな青緑色の帽子とヒジャーブをまとった客室乗務員が迎えてくれました。26席のビジネスクラスとなるファルコンゴールドと256席のエコノミークラスを見ることができました。1-2-1配列のビジネスクラスは、贅沢なスペースを使う前方を向いたスタッガード仕様です。個室感が高く、居心地が良さそうでした。エコノミークラスは、標準の3-3-3配列です。ブラウンとグレー系の落ち着いた色合いのシートが並び、70の文字が大きいヘッドレストカバーが使用されていました。

過去には日本就航を果たしていたSaudia

Saudiaはサウジアラビアのジェッダとリヤドを拠点としています。ドバイにはボーイング787-10(HZ-AR27)を持ち込んでいました。アジアでは広州まで路線を伸ばしています。1945年の創立で、中東では最古のエアラインの1社です。

787-10はビジネスクラス24席、エコノミークラス333席が装備されていました。ビジネスクラスは茶系の落ち着いた1-2-1配列シートが並びます。

エコノミークラスは、濃茶系のレザーシートが3-3-3配列で並んでいました。最後部中央には、カーテンで仕切られた礼拝エリアが作られています。壁には礼拝で重要なメッカの方角が示されるモニター画面まで装備されています。サウディアはスカイチームに属しています。

フライドバイのビジネスクラス

単通路機を中心に近距離を飛ぶエアラインは勿論日本では見ることができません。地元のFly Dubaiはエミレーツ航空と提携しており、高品質な短距離輸送サービスを提供します。ボーイング737-800と737Max8を保有しており、ビジネスクラスは1-1と2-2座席が交互に並び、フルフラットになる最新式です。

客室乗務員は宣伝要員

展示機のボーイング737-8Max(A6-FMS)のエンジンカウリングにはUAE建国50周年の記念デザインが見えました。会場では宣伝用でしょうか、客室乗務員が並んで手を広げて機体の前に並び撮影する様子を目撃しました。

エアバルティックのA220機内

Air Balticはここ数年のエアショーでは常連です。北ヨーロッパに位置しており、バルト海に面したラトビアのリガを拠点とするエアラインです。エアバスA220-300(YL-ABF)に新デザインを施して参加していました。機内に入ると、笑顔の客室乗務員が迎えてくれました。2-3配列となった明るいグレーのシートが並びます。機内での写真撮影のために、手持ちのサインボードを用意するなど宣伝が上手ですね。

アラスカ航空の実験機

他には米国のAlaska Airlinesも地上展示機に加わっていました。Boeing737Max9(N60436)はボーイングと共同で行うエコデモンストレーターと呼ばれる環境対策の実験機にもなっています。この機体は機内公開をしていませんでした。

サウディアのBoeing787

ボーイングとして出展したアラスカ航空を除いて、自国とドバイを結ぶ路線を主要なルートと考えるエアラインが展示されています。また、サウディアはリブランド前のサウジアラビア航空で日本に就航していました。緑色の塗装機を見たことのある読者もいることでしょう。いつかまた日本にも就航してくれると利便性が上がっていいですね。

ドバイエアショーでは、普段見ることのできない個性あふれる機体が多く展示されるのも魅力の一つです。


取材協力:エミレーツ航空


Koji Kitajima(きたじま こうじ)


日系、外資エアライン計4社で30年以上勤務し、旅客、貨物業務を空港と営業のフィールドでオールマイティに経験しました。航空ジャーナリストとして世界の航空の現場を取材し、その内容をわかりやすく伝えます。航空旅行の楽しさを「空旅のススメ」ブログにて発信中。
航空ジャーナリスト協会に所属しています。

■プロフィール : https://airport.aviationworld.jp/koji-kitajima.html

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