Aviation Journalist

航空ジャーナリスト 北島幸司


ドバイエアショーをあるく 華麗なるビジネスジェット編

2022/02/11 航空機

世界では活発なビジネスジェット市場


ドバイエアショーでは富裕国での開催にあたり、世界のビジネスジェット市場が関心を寄せていることが多くの実機を持ち込んでいることでわかります。世界ではビジネスシーンで必須とされていますが、日本ではまだ浸透しておらず、まさに雲の上の出来事に思えます。実際に体験するとどのようなものでしょうか。普段見ることのできない新たな世界を垣間見てみましょう。

エアバスACJ320neoを見る

機内を公開していたのはエアバスACJ320neo(G-KELT)です。ロンドンでエアショー会場となるファーンボロ空港を拠点とするアクロポリスアビエーションの所有機でした。
東京を基点にすると東にロサンゼルス、西はロンドンまで直行できる12時間のフライトが可能とPRします。最大19人の移動ができる仕様は17人分のベッドにもなり、最後部にはマスターベッドルームとしてダブルサイズベッドが備えられていました。
双発機連続飛行ができるETOPS180や自動着陸CATⅢAが承認されています。標準では180人が搭乗できる機体を20人以下に抑えているわけですから、10分の1の席数とゆったりしているわけです。

機内のレイアウトは・・・

機内は大きく5つのコンパートメントにわかれていました。左舷最前方L1ドアから機内に入ると、ギャレーとラバトリーが左右に配列された廊下のような場所が現れます。続けて、窓を背にしたソファー席と一人席が向かいあうシートが2組。続けて4人、2人とわかれた会議テーブルを挟んだ区画が現れ、窓を背にしたNo.2コンパートメントと同じ区画があります。
最後部は、右舷のダブルベッドを中心に、ベッドの横から最後部まで曲線を使ったソファーとともにオーナー寛ぎのスペースとなっています。

大企業の役員と複数家族の移動用という想定でしょうか。大き過ぎず、狭苦しさも無く丁度いいサイズなどと言ってみたいものです。

エアバスACJ319

スイスを拠点とするComlux AviationはA319ACJ(9H-LIV)を出展していました。
7人分のベッドに加え、19人分の座席が備えられています。その他、後部には2-3配列のプレミアムエコノミークラス並みの座席が20席配置されているのも珍しい構成です。4200nm(7700㎞)の航続距離を持ち、大物歌手の移動公演で随行員のある貸し切り輸送などが想定されます。

スホーイスーパージェットSSJ100

ロシアの国営企業となるROSTECの傘下となる統一航空機製造会社(OAK)が製造するのはスホーイスーパージェットSSJ100(97009)です。
AURUS BUSINESS JETのブランド名でビジネス機を展示しました。SaM146エンジンを2基搭載し、航続距離は最大で4500㎞あります。エアラインへの納入される場合の仕様は2-3配列で98席が標準になっています。

エアバスA340-500は大きい

米国ルイジアナ州レイクチャールズにあるシュノールト空港を拠点とするシタデル社がエアバスA340-500(VP-BMS)のVIP機を地上展示していました。
同社は機内インテリアやMROを手掛ける会社で、正式機体名はVVIP ACJA340-500と呼びます。限られた顧客への機内公開でしたので、見学のチャンスはありませんでしたが、4発ジェットは威風堂々としています。
同型機の航続距離はシンガポール航空が過去にシンガポール⇔ニューヨーク間を直行していたこともあり、搭乗者が少ない分、超長距離飛行に向いています。

ボンバルディアグローバル7500

地中海中央部マルタのマルタ国際空港を拠点とするVistajetはボンバルディアグローバル7500(9H-VIE)を参加させており、地上展示に華を添えていました。

どんな機体?

航続距離は7,700nm(14,260㎞)あり、8人分のベッドもしくは14人分のシートを装備しています。
最大高度は51,000ft(15,545m)であり、高高度を長く飛べる性能を持っています。Vistajetは「民間航空の新しい夜明け」としてこのグローバル7500を紹介しています。

機内のダブルベッドは寝心地よさそう

17時間の長距離飛行が可能としており、飛行例としてはニューヨークから香港まで16時間などと紹介しています。
装備されるNuageシートは、乗客が最大の快適さと動きやすさが得られるように設計された独占的なテクノロジーに基づくもので、長距離飛行において申し分ありません。と紹介します。機体後部のベッドルームは落ち着いた装飾の中にありました。

ダッソーファルコン900LX

フランスのビジネスジェットはダッソーアビエーションのファルコン900LX(N322FJ)を出展していました。
小型ながら3発エンジン装備の高性能機。乗員2名と乗客6名を7800㎞のフライトに誘ってくれます。昔ながらのラウンドしたコックピットのウィンドウが格好良く、フランスの気品を備えているように見えます。

おまけにエンブラエルE195-E2のご紹介

最後に紹介するのはブラジル エンブラエルの最新鋭機でシリーズ最大のE195-E2(PR-ZIQ)です。ビジネスジェットのカテゴリーではありませんが、リージョナル機で2-2配列ながらスタッガード仕様のビジネスクラスを披露しており、この記事でご紹介したくて仲間に入れました。この配置ですと、窓側の搭乗者も通路に出やすい設計です。

プロフィットハンターの異名で世界にデビュー。大きさではシリーズ3兄弟の長兄でありながら誕生は最後という経歴です。エンブラエルの商用機では最大にして最新の機体です。2-2配列で最大134席を配置できるサイズは、エアバスの最小機A220-100よりも大きくなります。弟分のE175-E2はシングルクラスで90席。時の三菱Spacejetの競合機です。

ドバイエアショー会場では更に多くのビジネスジェットが展示されていましたが、うち一部を紹介しました。

コロナ禍において公共交通機関が敬遠され、一般顧客と触れ合うことのないビジネスジェットの需要が上がっています。機内の換気は優れていても、旅行の行程で空港など不特定多数の人間と接触することが不可避となっており、ターミナルが別となり密になりにくいビジネスジェットの活躍の場は広がりつつあります。

中東においても、その動きは根強いようです。決して自分では持てるものではありませんが、一度は長距離で搭乗してみたいものです。


取材協力:エミレーツ航空


Koji Kitajima(きたじま こうじ)


日系、外資エアライン計4社で30年以上勤務し、旅客、貨物業務を空港と営業のフィールドでオールマイティに経験しました。航空ジャーナリストとして世界の航空の現場を取材し、その内容をわかりやすく伝えます。航空旅行の楽しさを「空旅のススメ」ブログにて発信中。
航空ジャーナリスト協会に所属しています。

■プロフィール : https://airport.aviationworld.jp/koji-kitajima.html

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