Aviation Journalist

航空ジャーナリスト 北島幸司


エミレーツ航空でドバイエアショー2021へ

2021/12/21 航空会社

・写真 : ドバイエアショーでのフライトディスプレイの開始記念飛行

今、行くべきドバイ


世界のメジャーなビジネスエアショーで英仏開催が2年中止となり、コロナ禍での実開催として話題を呼んだドバイエアショー2021が11月中旬に開催されました。

ドバイは比較的感染者が少ない人数で推移しており、観光客も受け入れ態勢が整っているため、帰国後の隔離を除けば行きやすい場所のひとつでもあります。

成田空港からドバイに向けて飛び立ちました。出発前には、PCR検査を受け、陰性証明書とワクチン接種証明書を持って空港に向かいます。


成田空港からエミレーツ航空に乗る


エミレーツ航空の日本線は、成田空港に毎日と関西空港に週5便が就航しています。機材はボーイング777-300ERで、120機を超える同型機の中で最新装備のファーストクラス「スイート」を持つ「Game Changer」が飛来していました。

ビジネスクラスの予約を持っているので、最前方のドアから機内に入ると、そこは今まで見たことのない異質の空間が広がっています。ファーストクラスの完全な個室が6室あります。

搭乗前なので、ドアの開いた部屋の中がのぞけます。大きなソファータイプの白い上質な椅子にデスクと言っていい大型テーブルが備えられ、中央部には黒革の手帳とペンが置かれています。ここは書斎かと思わせる落ち着いた場所。ホテルの部屋のようにアメニティとミニバーがコンパクトに収められた場所でした。窓4つ分を独り占めする空間です。

スイート室内の様子です

ビジネスクラスへ


続くビジネスクラスは前向きの2-3-2の配列でシートが並びます。ウェルカムドリンクを楽しみながら、久しぶりに手に取る布の熱いおしぼりに感激しながら落ち着きます。ウェルカムドリンクを飲みながらメニューとワインリストを見ていると、就寝用のブランケットとブルガリのアメニティキットが配られ、離陸後はすぐにでも眠れる配慮がなされていました。

夜11時以降の食事なので軽食です。冷製では寿司、温製はビーフ焼きそば、チキンカレー、ポモドーロパスタのチョイスでした。

「ice」システムで4500チャンネルの映画を観たり、カメラ付きのTVで飛行経路を確かめることができます。食後は、客室乗務員がマットレスをセットしてくれ、フルフラットシートにセットすると、天井には機内照明で満天の星空が広がっていました。

天井には星がきらめきます

熟睡の後に窓の外を見ると、漆黒の闇の中に砂漠の情景がうっすらと浮かびます。

客室乗務員に聞く


エコノミークラスを担当していた日本人客室乗務員の上岡佳奈子さんに話を聞くことができました。「日系エアラインから転職して入社3年になります。毎月半ばに翌月のロスター(勤務表)が出て、エミレーツ航空が就航する全世界への路線に乗務しています。日本線の場合は、必ず6名の日本語を話す客室乗務員が乗務します。夏以降、コロナ禍の影響が減り、忙しさが戻ってきました」と言います。

また、「エミレーツ航空の搭乗客はエキスポ2020ドバイの入場券が無償で発券できます。ドバイ国際空港からドバイメトロで1時間強の直通で行けるので、6時間以上の乗り継ぎの方も含め是非体験頂きたい」と言います。

上岡さん(右から2番目)と同僚の皆さん

男性客室乗務員に聞く


160か国以上の社員のいるエミレーツ航空らしくハーフの男性客室乗務員もおり、話が聞けました。ウルグアイと日本の両親を持ち、東京生まれ東京育ちのプジェイロ岬さん。乗務経験は7年半でビジネスクラスを担当しています。元々航空業界に憧れがあり、日本とウルグアイの往復で南米航空会社の搭乗経験から航空業界に憧れを持ち、ウルグアイの航空会社から転職しました。

コロナ禍で、旅客貨物便の乗務が新しい経験でした。ドバイでのオフ時間でも3日ほどあれば旅行三昧で楽しんでいると言います。

ビジネスクラス担当のプジェイロ岬さん(左)

お二人とも旅客需要の回復を歓迎していました。

機内で爽やかに摂る朝食


便の到着前の朝食は、日本食で懐石弁当にしました。小鉢が並び、メインは鮭の照り焼き、蕎麦が並びます。フルーツも添えられ、なかなかの見栄えとボリューム。また味も上質でした。

今回の朝食は懐石弁当です

ドバイ空港到着


エミレーツ航空がアジア方面からの便を集中させていますので、早朝の入国審査はそれなりの列ができています。30分程待った列もはけ、カンドゥーラをまとった審査官が目の前に。
1GBのSIMカードを渡されたのには驚きました。


ドバイエアショーへ


開幕日のドバイエアショー会場に急ぎます。ドバイ国際空港から、南へ70キロほど離れたアル・マクトゥムと呼ばれるドバイ・ワールド・セントラル空港で開催です。

今回の特徴は、エアバス、ボーイングの2大メーカーとともに、多くのエアラインが自社機を持ち込んだ点。中東、欧州、アフリカの10のエアラインが色とりどりの機体を並べ、機内を公開しました。

展示館やシャレー群を抜けて目指すは、地上展示の目玉となるボーイング777Xの姿です。フライトディスプレイでも派手な飛行を披露していました。

見たこともないBoeing777Xのフライト

他にもロシアイルクートのMC-21-310が公開されました。エミレーツ航空は、アラブ首長国連邦建国50周年の記念塗装機のA380を機内公開していました。この機体は、エアバスから受領したばかり。新しく一階にプレミアムエコノミークラスを装備する機体でした。

プレミアムエコノミークラスを案内するSaraさん

2階は、後方にバーカウンターとラウンジがあり、前方にかけてビジネスクラス席が1-2-1配列で並びます。ファーストクラスは天井部以外が個室になる仕様です。ドアを閉めると、自分だけのゆったりと過ごせる空間になります。

記念塗装のA380の前でSaraさん

ビジネスショーとしてのエミレーツ航空の発注が注目を浴びていました。新造機は、ボーイング777の貨物型機2機と4機の旅客型777の貨物型機への転換改造の発表でした。

旅客型では、エアバスA380とボーイング777のプレミアムエコノミークラスを装備する105機の改造を発表。持続可能な航空燃料の推進をGE90エンジン搭載のボーイング777で行うGE Aviationとの覚書に調印しました。

展示機機内から展示旅客機群を見る

PCR検査に向かう


旅行行程途中で、エミレーツ航空のHPに紹介されていた病院のドライブスルーPCR検査に立ち寄りました。費用はAED140(約4300円)で日本の市場価格よりも安いです。日本政府が求める様式を説明するのに時間が掛かりましたが、しっかりメールで送られてきました。


帰国へ


ドバイ国際空港では、厚生労働省が求める健康調査のQRコードの提示を求められ、チェックインを行います。

帰国便は深夜の2:55発。ドバイ国際空港はこのような時間でもほとんどの店舗やレストランが開いており、旅行者の回復を実感できます。ビジネスクラスラウンジも、広大なエリアを占める場所であるにも関わらず、空席を探すのに苦労したほど。

機内での食事後は、睡眠の時間にしましたが、その後日本の夕刻到着に備えて目を覚まし、窓を開けて往路ではできなかった機窓を楽しみます。フライトはインドを超えてバングラデッシュやミャンマー、中国大陸を横断していきます。


成田空港に到着へ


成田空港到着後は、機内で10分程待機ののち、ぞろぞろと案内役に先導されPCR検査、アプリ設定、誓約書へのサインなどを経て、入国します。到着口に出るまでに、約2時間。予約していた送迎リムジンの「nearMe」で帰宅します。

14日間の隔離中は専用アプリ「MySOS」に毎日欠かさず健康、居場所、ビデオ通話確認がランダムで来ますので、不自由ではあります。また、今ではワクチン接種が済んでいれば10日後のPCR検査または抗原検査の結果を入国者健康確認センターに通知すれば残り4日の待機が免除されます。(12/1に一旦停止)

これらの面倒が待っていたとしても、ドバイの刺激的な日々の記憶が勝り、充実感が残ります。

エミレーツ航空はコロナ禍規制緩和の国々へのフライトが戻り、活気のあるドバイを見ることができて、充実した渡航となりました。

■取材協力:エミレーツ航空 ⇒ https://www.emirates.com/jp/japanese/


Koji Kitajima(きたじま こうじ)


日系、外資エアライン計4社で30年以上勤務し、旅客、貨物業務を空港と営業のフィールドでオールマイティに経験しました。航空ジャーナリストとして世界の航空の現場を取材し、その内容をわかりやすく伝えます。航空旅行の楽しさを「空旅のススメ」コラムにて発信中。
航空ジャーナリスト協会に所属しています。

■プロフィール : https://airport.aviationworld.jp/koji-kitajima.html

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