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飛行機尽くしなザ・ペニンシュラ東京の「アビエーション アフタヌーンティー」

2021/07/20 北島幸司・特集記事

写真 : ラウンジエントランスに立つ、料飲部野中統括マネージャー

一流ホテルの最上階に


皇居外苑と日比谷公園を目の前にして、日比谷交差点角に建つザ・ペニンシュラ東京。日本の伝統を随所にちりばめたのは内装だけでなく、「灯籠」にヒントを得た外装にも及びます。

最上階となる24階の「ザ・セブンシーズ・パシフィック・アビエーションラウンジ」の普段の姿は貸し切り利用のみです。今回、世界に展開するザ・ペニンシュラホテルズ社の都市をイメージしたメニューが含まれた個人利用可能な「アビエーション アフタヌーンティー」の提供が開始されました。飛行機好きにとってこれほど魅力的な名前のダイニングシーンはなかなか体験できるものではありません。

ザ・ペニンシュラホテルズを運営する香港上海ホテルズ。このオーナーが世界のペニンシュラホテルの中で東京に加え香港、バンコク、上海にアビエーションラウンジを作りました。こだわりの詰まった空間でコレクションを眺める時間を過ごすことができます。

本来は、ホテル屋上に設置されたヘリポートを利用する顧客向けの施設なのですが、ザ・ペニンシュラ東京では、ラウンジだけが独立して営業する形態になっています。


名前の由来は


東京では「セブンシーズ」の名前がつけられました。これは、JALが1957年から1965年にかけてジェット化される前の短期間に使用した国際線の主力機材ダグラスDC-7Cから来ています。もちろん、この機体はラウンジの中で精密モデルとして展示されています。ラウンジではこのテーマ展示だけでなく、日本の動力飛行が始まった1910年から100年の歴史を経た現在の航空産業を見せるミュージアムのようなラウンジと言っていい空間です。

入口に投影される国際線出発のスケジュールボード

行ってみた


直通エレベーターで最上階の24階に上がると隣接のPeterバーにてチェックインが行われます。搭乗券を渡されて、予約時に名前を聞かれたわけを知ります。券面にはしっかり名前が刻印されていました。この様子は、まさに空港のラウンジで手続きが行われているようで、ひとしきり海外旅行気分。行先はPTKでザ・ペニンシュラ東京を表していると言います。「これから搭乗ゲートにご案内します」と言われて進むと、床面に投影されるスケジュールボードを見ながら機内となるラウンジへ入ることになります。ここで、Peterのスタッフから「いってらっしゃいませ」の声が掛かります。
このアフタヌーンティーのテーマは食の世界旅行。「ペニンシュラ・アラウンド・ザ・ワールド」の始まりです。


大きすぎる展示物


最初に目に飛び込むのはSeven Seasの名前の入ったロゴ看板と、大きな地球儀。そして、床には世界主要都市までの距離を示す世界地図があります。入口が東側を向いており、アメリカが進行方向に刻印されていました。

近づいてみると、横に大きなエンジンのモデルが置かれていることに気付きます。ロゴをじっくり見たいものの、エンジンが気になって仕方ありません。寄っていくと、ノームのロータリーエンジンとロールスロイスのRB211エンジンの一部が置かれています。ノームエンジンは、第一次大戦機イギリスの単座複葉戦闘機「ソッピースパップ」に搭載されていました。RB211は、ANA最初のワイドボディ機として1974年に導入されたロッキードL-1011トライスターに装備されていたものです。

ラウンジ最大の展示物はJALダグラスDC-7C

スタッフに案内されて


ここで、ホテル料飲部の統括マネージャーである野中智之さんが迎えてくれました。

この大きなエンジンのモデルを前に、野中さんは「最初に扉からは入らないこのエンジンを設置してからラウンジの内装ができていきました」と言います。

ラウンジ中心部壁側には、大きなダグラスDC-7Cのモデルがあります。客室や操縦室内部まで作りこまれた精密モデルにため息がでます。壁面には、世界の主要都市のデジタル時刻が赤い文字で刻まれており、ジェット化の前の国際線主力機に相応しい装飾です。

玉虫飛行器とフォッカースーパーユニバーサル

明るいダイニングルーム


明るい光のさすダイニングルームには広く間隔を空けて5つのテーブルがセッティングされています。敷かれるカーペットの模様は、羅針盤。見上げると翼の下面が天井になっており、組み込まれた機内を模した照明が光ります。

ラウンジ内には1893年に二宮忠八が製作した玉虫型飛行器や1929年に飛び始めた日本航空輸送のフォッカースーパーユニバーサル。日本が誇る国産機YS-11は東亜国内航空のレッドアンドグリーンをまとったモデルが飛行しています。展示物は、ANA、JALともにバランス良く配置されているのが印象に残ります。

16区画にバランス良く配置された展示物

全面ガラスの向こうには銀座方面のパノラマが広がり、旅客機モデルと航空図書の揃った書棚や、航空史に触れる額装の写真を眺めつつアフタヌーンティーが始まります。

機内用カートで運ばれるメニューの数々

充実したメニュー


黒いオリジナルの機内カートで運ばれてくるメニューはセイボリー(塩系味)で6都市、スイーツで7都市を表現しており、テーブルの上が華やかに彩られていきます。

飲み物は紅茶と珈琲で約20種類から選ぶことができます。オリジナルテイストのあるティーコレクションが充実しています。スイーツをじっくり見ていると、飛行機がモチーフのメニューはプロペラをかたどったホワイトチョコレートビスケットシューが用意されていました。

【セイボリー】
東京      スモークサーモンの手毬寿司
ビバリーヒルズ タコス アボガド 海老 コリアンダー 山葵
シカゴ     イタリアンビーフミニバーガー
香港      叉焼パイ
北京      ローストダック入り蒸し饅頭
ヤンゴン    発酵茶葉のサラダ

【スイーツ】
ニューヨーク  ニューヨークチーズケーキ
パリ      チョコレートビスケットシュー
マニラ     カラマンシーカードとメレンゲタルト
バンコク    ココナッツスティッキーライス マンゴー
上海      ロンジン茶パンナコッタ
イスタンブール ローズウォーターとレモンの香る胡桃バクラヴァ
ロンドン    スコーン(プレーン、レーズン)
オリジナルクロテッドクリーム ストロベリージャム

プロペラ型のチョコレートビスケットシューもテーブルを彩る

【ティー】
ザ・ペニンシュラ オリジナルティー
ザ・ペニンシュラ東京ブレンドティー
ザ・ペニンシュラ東京アフタヌーンティー
ザ・ペニンシュラ東京ブレックファストティー
アッサム
マスカット
ジャスミン

アートオブティー(オーガニック)
1896
ダージリン
アールグレイ
モロッカンミント
ココナッツカカオプーアル
フレンチレモンジンジャー
ハイビスカスクーラー
ラズベリーネクター
エジプシャンカモミール

全メニュー(2人分)が並ぶ

ANA、JALの額装写真がバランス良く展示される

お腹が満たされたあとは、再度ゆっくりとコレクションを眺めてもいいですし、テラスに出て、都心のパノラマを眺めるのもいいかもしれません。

使用中のライトが光る機内を模した化粧室

化粧室を見て欲しい


外すことのできないのは化粧室の様子。飛行船の内部のものはこうなっているのではないだろうかとも思える飛行機テイストは驚くこと請け合いで、必見の場所です。


4月に静かに始まったこのプラン。口コミが広がり、業界人も多く利用するようです。取材当日は、現役の客室乗務員が来ており、カートを押していました。

このプランの終了は未定なのですが、早期に終了してしまわないように早めの利用がお勧めです。都内で世界旅行ができるアフタヌーンティーを楽しんでみみたいですね。



予約はこちら


料金はお一人9,867円(税・サ込)
グラスシャンパン付お一人12,397円(税・サ込)
(緊急事態宣言やその他東京都の要請に伴いアルコール提供を休止する場合があります)
金・土・日の午後2時、2時半、5時、5時半の予約受付。


予約先


ザ・ペニンシュラ東京
☎ 03‐6270‐2888
Email: peterptk@peninsula.com
案内URL ⇒ https://www.peninsula.com/ja/tokyo/special-offers/dining/aviation-afternoon-tea



Koji Kitajima(きたじま こうじ)


日系、外資エアライン計4社で30年以上勤務し、旅客、貨物業務を空港と営業のフィールドでオールマイティに経験しました。航空ジャーナリストとして世界の航空の現場を取材し、その内容をわかりやすく伝えます。航空旅行の楽しさを「空旅のススメ」コラムにて発信中。
航空ジャーナリスト協会に所属しています。

■プロフィール : https://airport.aviationworld.jp/koji-kitajima.html