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初日の出フライトに向かうスターフライヤーの客室乗務員

2020/03/10 航空会社・北島幸司・特集記事

■無償招待制のサンライズフライト
日本の空に初日の出フライトが登場して20年を迎え、すっかり正月の風物詩となりました。北九州空港をベースとするスターフライヤーは、本拠地において2006年から初日の出フライトを実施しています。現在の代表取締役 社長執行役員 松石禎己氏の就任後、2015年から他社では例のない無償の招待制に移行し、6回目を迎えました。

■羽田での実施は難関?
北九州空港に加え、羽田空港での実施は2回目。「日本一の混雑空港では正月の朝から発着枠は混みあって、毎年取れるわけではありません。北九州空港なら毎日でも初日の出フライトができるのだが」と松石社長は言い、笑いを誘います。その貴重な枠を使っての初日の出フライトは、お客様への感謝のイベント。社内でプロジェクトチームを立ち上げ、招待でありながら完成度の高いものに仕上がっています。このフライトの名称は「Sunrise Flight 2020 with us」、ともに新年を祝いましょうの気持ちとともに、参加者のチャレンジしたい内容の表明が応募条件になっていました。

〔写真 : 左から高田さん、池田さん、村田さん、中村さん 〕

羽田空港へ集合

羽田空港第一ターミナルビル1番搭乗口で出発のセレモニーが行われ、柴田取締役常務執行役員から挨拶があり、並んだ乗務員全員からも拍手が起こりました。80倍を超える倍率に、集まった招待者からもどよめきが起こります。
松浦機長、島崎副操縦士のパイロット2名に加え、客室乗務員は池田、中村、村田、高田の4名。松浦機長からは羽田空港を起点に、富士山を囲む反時計回りのフライトルートの案内がありました。男性客室乗務員の村田さんからは、「旭良(あきよし)と申しまして、あさひが良いという今日の日に相応しい名前です」と自己紹介を兼ねて挨拶があり、招待者を喜ばせていました。

〔写真 : 出発セレモニ- 〕

まだ暗い羽田空港を出発

漆黒の羽田空港の出発に際し、まだ寒空の下でグランドハンドリングの職員が、ネオンサインを載せた車を用意しています。羽田空港のD滑走路を離陸すると、ネオンで光る東京タワーと東京スカイツリーが見え、一路富士山のある西に向かいます。

〔写真 : 爽やかな笑顔の池田さん 〕

機内食も用意された

機内では、メッセージの書かれたボックスミールが配られ、アナウンスでは特別に、日本酒の「まどのうめ」とノンアルコールスパークリングワインジュース「シルドリ・ミニャール」を用意していると告げられました。

〔写真 : スペシャルドリンクを持つ中村さん 〕

メッセージのあるボックスミール

ボックスの中は、違った素材が使われた3種のサンドイッチ。ビーフ、シュリンプ、ダックと個性あふれるものでした。加えて新鮮なフルーツとオレンジケーキまで。食事をとりながら初日の出を待ちます。

〔写真 : メニューカードもある機内食〕

富士山へ向かう

朝もやの中、地上と空の境目がくっきりと見え始める頃、富士山が姿を現します。山頂付近がピンク色を帯び、ふもとに街の明かりが見え始める時間もわずか。空はどんどん赤身を増していきます。初日の出を迎える時間に合わせて、機体は長野県駒ケ根上空でサークリングのフライトを始めます。

〔写真 : 機内抽選の商品を配る高田さん〕

機上の初日の出

初日の出が顔を出すと、機内のあちらこちらでシャッター音が鳴ります。天井が徐々に赤く染まり、太陽が完全に昇ったことがわかりました。令和最初の初日の出に、空の上からの眺めを堪能できた喜びで搭乗の招待者の顔も明るく輝いていました。

〔写真 : 富士山と初日の出〕

男性客室乗務員に聞く

サービスが一段落した時間を見計らって、客室乗務員の村田さんに話を聞きました。スターフライヤーでは14名の男性客室乗務員の中の一人です。2019年夏以降、このSunrise Flightのプロジェクトに参加してきました。「お客様に喜んで頂こうと、われわれも普段と違うコサージュを付けてフライトに挑みました。ネクタイも工夫して、結び目をバラにしてみました」とのこと。お洒落には気を遣っていますと教えてくれました。

〔写真 : サービス中の村田さん〕

羽田に戻り、アフターパーティーへ

約1時間40分のフライトのあと、羽田空港に戻ってきた機内であったアナウンスは、このあと第一ターミナルビル6階ギャラクシーホールでのアフターパーティーの案内。機体をあとにする時、客室乗務員より「のちほどお会いしましょう」と声がけがあるのが普段と違う光景です。
会場では、パーティ開始早々いきなりサプライズの発表がありました。「北九州会場でSunrise Flightの開催挨拶した社長の松石が羽田に駆けつけました」と案内があり、参加者から喝さいを浴びます。広い会場内では制服着用体験や絵馬の奉納などのコーナーがあり、招待者は思い思いに時間を過ごします。

〔写真 : フライトの部が終了〕

客室乗務員による書初めイベント

メインイベントは、客室乗務員 太田あかりさんによる書初めのパフォーマンスです。「Sunrise Flight 2020 with us ともに未来へ 叶えたい想いをのせて」と書き上げました。その作品を、フライトを完遂させたクルー全員とともに披露します。太田さんに聞くと、「書くことは好きですが、書道を習っているわけではなく、まったくの自己流です。綺麗な文字というよりはていねいさに重きを置いています。上手でなくて申し訳ありません」とのこと。丸く特徴のある文字は、力強くて新年に相応しい立派なものでした。
随所に社員のアイデアが詰めこまれたフライトとパーティ。手土産を手に会場を去る招待者の顔は新年早々晴れやかでした。2020年もスターフライヤーファンが増えていくことでしょう。

〔写真 : 書初めを完成させる太田さん〕

取材協力:スターフライヤー ⇒ https://www.starflyer.jp/

■Koji Kitajima(きたじま こうじ)

日系、外資エアライン計4社で30年以上勤務し、旅客、貨物業務を空港と営業のフィールドでオールマイティに経験しました。航空ジャーナリストとして世界の航空の現場を取材し、その内容をわかりやすく伝えます。航空旅行の楽しさを「空旅のススメ」コラムにて発信中。
航空ジャーナリスト協会に所属しています。

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